当社は経済産業省事業として、クラウド上で衛星データの分析ができる日本発の衛星データプラットフォーム「Tellus」の開発・運用を行っています。「宇宙アセットを民主化する」というビジョンを掲げ、衛星データを利用した新たなビジネスマーケットの創出を目指しています。
Tellusのメインのコンテンツである衛星データは、そのデータが大きいことや解析のために専用のソフトウェアが必要であるなど、その利用にハードルがありますが、「宇宙×IT」の力でこの課題解決に取り組んでいます。
今年の10月26日には、TellusはVer.3.0にアップデートしました。
これにより、衛星のセンサーの種類や観測日、関心領域を指定・検索し、衛星データを購入できるようになりました。
これまではIT系のイベントで登壇することが多かったのですが、最近は宇宙関連イベントにもお声がかかるなど、会社として関わる幅が広がったことを実感しています。
また、それに伴い心強い仲間もたくさん加わりました。
例えば、民間企業で衛星データを利活用していく事業を日本でも立ち上げたいという熱い思いを持った方にジョインいただきプロジェクトを推進してもらったり、現在Tellusのオウンドメディアとなっている「宙畑」という宇宙メディアと繋がり、一緒に情報を発信したりと、Tellusのサービス開発を行う上で素晴らしい体制ができたと思います。
メンバー一人一人が本当に頑張ってくれたと心から感謝しています。
一方で、衛星データを利活用するということは非常にハードルが高いということに気づかされた3年間であったとも言えます。
課金が始まりまさにTellusも「事業化ステージ」に突入したので、Tellusを事業として自立させていきたいと考えています。
宇宙業界は、これまでは主に製造メーカーを中心に事業化されてきました。
今回はIT企業が衛星データ事業を事業化するという新しい姿を見せていきたい。この新たな境界点でビジネスが生まれるというのは、業界にとっても極めて重要な事だと考えています。
Tellusのメンバーには100点がつけられると思います。
サービス開発のためにかなり頑張ってくれましたし、想定以上のものが構築できたと思っています。
一方で社会にどれだけ影響を与えているかという観点で見ると、現状は10点ぐらいだと考えています。
今後もっと世の中でTellusが使われている状態にすることで、残りの90点を埋めていくことになります。
いくつか重要なポイントがあると思います。
1つ目は、プロバイダ(Tellus上で商品を販売する企業)を増やし、扱えるデータを増やすことです。
2つ目は、多様な人材を確保することです。
これまでは、衛星データをどのように使えるかというのをエンドユーザーの皆様が思考錯誤しないと使えない状況でした。
この状況を改善するために、GISや統計に詳しい人材を確保し、これまで見えてこなかったTellusの活用方法を発見し広めていきたいと考えています。
また、会社の在り方として、宇宙ビジネスを目指す方々にとって就職したいと思われるような会社を目指すことも重要だと思います。
将来的には大学の研究室の教授が、学生をTellusの会社に就職させたいと思ってもらえるようにしていければと考えています。
3つ目は、利用される機会を増やすことです。
現在も行っていますが、コンテスト等を行い利用機会を増やしていきます。
これまでは、衛星ごとにデータを受け取るシステムを作って運用されていました。
そのため一部の知識がある人だけがアクセスし、特定のデータを指定して購入し利用していました。
しかし、クラウドベンダーである我々がデータをアーカイブしてそれをいつでも使える状態にし、加工もシームレスに行えるクラウド基盤を提供していくことで利活用が推進されると考えています。
リアルタイムにデータを組み合わせたり、Python上で使える状態で購入できるなどもTellusのユニークな点だと思います。
現在、Tellusの登録者数は24,000人を超え、宇宙界隈のサービスではかなり登録者が多いサービスになりました。
一方で、事業としてLTV(ライフタイムバリュー)を意識したカスタマーサクセスを向上させていくことが今後の課題だと考えています。
宇宙コミュニティを発展させたいと思ったからです。
スポンサーになったのは、露出を増やすことよりもそのコミュニティが拡大するために支援をしたいという気持ちが強いです。
SPACETIDEを通じて、コミュニティが発展していくとことで、よりTellusも使われるようになると思っています。
シンプルに認知という面で見ると、SPACETIDEに参加する方で、Tellusを知らない人はほとんどいないと思っているので、このコミュニティにおいてTellusの存在感が増していくことの方が重要だと考えています。
Tellusは政府から支援を受けて構築をする「サービス開発フェーズ」から、自立して売り上げを上げていく「事業化フェーズ」に移行します。
事業化フェーズを成功させるには、次のTellusを一緒に創っていく仲間が必要になります。
「自社のプロダクトに衛星データを連携したい」「Tellusのサービスプロバイダになりたい」「衛星データの知識・統計の知識を生かしたい」等関わる方法はさまざまだと思います。
我々も上場企業の一つの事業としてではなく、民間初の衛星データ利活用プラットフォーム事業を行う「スタートアップ」の気持ちでこの事業を進めています。
皆様にTellusを改めて知っていただき、一緒に業界を盛り上げていけたらと思います。